第49回研究会「葬儀の変化と地域社会」※新型肺炎のため開催中止
【新型肺炎のため開催中止】 第49回研究会「葬儀の変化と地域社会」
日 時:2020年3月7日(土)13:00~17:00
会 場:お茶の水女子大学本館306号室
コーディネーター:関沢まゆみ(国立歴史民俗博物館)・宮内貴久(お茶の水女子大学)
タイムテーブル
13:00~13:30 関沢まゆみ 「葬儀の変化と地域社会」(趣旨説明)
13:30~14:00 武井基晃(筑波大学)「葬儀はいつから難儀になったか―葬式組の維持と動揺を事例に―」
14:00~14:30 宮内貴久「団地の葬儀の変化と地域密着型の葬儀社の展開」
14:30~15:00 津波一秋(筑波大学大学院)「火葬と洗骨の共存―沖縄本島南部の事例から―」
15:00~15:15 休憩
15:15~15:45 羽田野京(筑波大学大学院)「葬儀における無常講の変化と地域の芸能―大分県姫島村を事例に―」
15:45~16:15 新谷尚紀(國學院大學大学院客員教授)「葬儀の変化と集落運営の現状―花田植を伝えている安芸門徒の村落の事例から―」
16:15~16:30 古家信平(筑波大学名誉教授) コメント
16:30~17:00 討論
趣旨:
昭和30年代以降、集落での溝浚えや道普請などの共同労働や、結婚、出産における地域の人びとの相互扶助など、地域社会における共同慣行が日本各地で次第に消滅していった。そのなかで、比較的遅くまで残っていたのが葬儀における相互扶助であった。しかしそれも、1990年代から2000年以降、地域の人びとの手を離れて葬儀社職員によるものとなり、まもなく葬儀の場所も自宅から葬祭ホールへと変化した。このような葬儀の業者依存へという変化、地域社会での土葬から公営火葬場利用の火葬へという遺体処理の方式の変化に、各地でどのような対応がみられるのだろうか。民俗学の取り組みとしては、1960年代の葬儀と1990年代の葬儀とその間の変遷を追跡した「死・葬送・墓制資料集成」(1998・1999年)による情報収集が比較的早いものであった。それから20年以上が経過する現在、葬儀の変化と地域社会の現状とがどのように展開しているのか。それについて、1)九州、近畿、関東、東北と各地で調査を試みてきた葬儀と墓の変化と地域社会の動向、2)都市部の葬儀社の経営戦略(福岡市)という視点、3)沖縄の葬儀と墓の変化および門中の洗骨習俗の現在、4)瀬戸内の島嶼部(姫島)における集落の状況、5)講中の結束が固くその相互扶助なしの葬儀は考えられないとまでいわれていた広島県西北部の安芸門徒の集落の現状、などをテーマに現地調査に基づく研究発表を行ない、あらためて葬儀と地域社会の現在を、具体的な事例をもとに民俗学的な視点から読み解くこととする。
なお、今回の発表は、科研基盤B「村落社会の相互扶助の動揺と民俗の維持継承―葬儀変化にみる地域差の存在とその意味―」(2017~2019年度 課題番号:17H02439代表:関沢まゆみ)の成果の一部である。