第56回研究会「民俗学者の「生きる方法」」
第56回研究会「民俗学者の「生きる方法」―若手研究者向けキャリア支援企画―」
■現代民俗学会会員の方には、開催日前日までに、会員向けメーリングリストを通じて、参加に必要なZoomのID・パスコード等をご連絡いたします。
■本研究会は、非会員の方にも事前申し込みの上でご参加いただくことが可能です。下記の登録方法をよくお読みください。
■どなたでもご参加いただけますが、特に学部生・大学院生等の皆様のご参加を、心よりお待ちしております。各報告者のご経験を踏まえた発表と全体討論のほか、ブレイクアウトルームを活用し、報告者の分野ごとに分かれて質疑や議論を行う時間を設けることも想定しております。
日 時:2021年8月22日(日)13:00~17:00
会 場:オンライン開催(オンライン会議システムZoomを使用)
コーディネーター:辻本侑生(民間企業勤務)、島村恭則(関西学院大学)
タイムテーブル:
13:00~13:15 趣旨説明:辻本侑生
13:15~13:45 発表1:内山大介(福島県立博物館)
「職場としての博物館・公務としての民俗学―「学芸員は研究者なのか」を考える―」
13:45~14:15 発表2:大道晴香(國學院大學)
「〈順調な研究者〉はいるのか―「スタンダード」ではなく、「セルフプロデュース」という考え方」―
14:15~14:45 発表3:市東真一(神奈川大学日本常民文化研究所・株式会社しづか)
「“地域”で続ける民俗学―実践と研究の間から―」
14:45~15:00 休憩
15:00~16:20 ブレイクアウトセッション(計3ターム)※発表者ごとにルームを分け、参加者との質疑応答を実施
ファシリテーター:倉石美都(京畿大学)、島村恭則、辻本侑生
16:20~17:00 全体総合討論
趣旨:
人文社会科学系の学問において、若手研究者が経済的・社会的に弱い立場に置かれるいわゆる「若手研究者問題」が指摘されて久しくなっています。民俗学においては、アカデミックポストのみならず、博物館学芸員や文化財専門職においても非正規職雇用が増え、若手研究者が自身の研究を安定的に続けることが難しい状況もみられると推察されます。
ここで留意しておきたいのは、民俗学という学問が、大学や文化財行政の中で、そもそも周縁的な位置を占めているということです。例えば、日本において制度的に大学のカリキュラムに「民俗学」が位置付けられているケースは珍しく、また、文化財行政をみても、専門職のほとんどは考古学等の専門家であり、民俗学を専攻した専門家が雇用されているケースは少なくなっています(内山大介2020「多様化する文化政策と民俗学」現代民俗学会第50回研究会発表)。
しかし、こうした「周縁性」は、デメリットであるように見えて、実は民俗学の強みでもあります。大学や行政、企業、地域など、様々な場において、あえて「周縁」的なスタンスをとることで、それぞれの職場にうまく適応しつつも、その場において当たり前とされている考え方や仕方を相対化し、新たな価値を生み出していくことができると考えられるからです。いわば民俗学者の「生きる方法」(島村恭則2010『〈生きる方法〉の民俗誌』関西学院大学出版会)というべきものがあるのではないでしょうか。
本研究会は、民俗学者の「生きる方法」について、学問そのものの性格を踏まえた位置づけを試みつつ、大学・博物館・地域のそれぞれで活躍されている方にご登壇いただき、若手研究者に向け、ご自身のご経験をシェアしていただくことを企図しています。
【7月1日追記】