第61回研究会「民俗学をクィア化する」

第61回研究会「民俗学をクィア化する」

ご案内:

■現代民俗学会会員の方には、開催日前日までに、会員向けメーリングリストを通じて、参加に必要なZoomのID・パスコード等をご連絡いたします
■本研究会は、非会員の方にも事前申し込みの上でご参加いただくことが可能です。下記の登録方法をよくお読みください。

日 時:2022年3月19日(土)13:00~17:00
会 場:オンライン開催(オンライン会議システムZoomを使用)

発表者:
 辻本侑生(弘前大学)「クィアの民俗学、および民俗学のクィア化に向けて」
 辻晶子(大阪経済大学)「南方熊楠と岩田準一の‟男色談義”とは何だったのか」
 三上真央(民間企業勤務)「クィアとされる人々をまなざす―大阪府守口市性善寺の実践から―」
コメンテーター:
 島村恭則(関西学院大学)

コーディネーター:辻本侑生(弘前大学)、島村恭則(関西学院大学)

趣旨:

 クィア(Queer)―直訳するならば「奇妙な」「風変わりな」-は、差別を受け、社会的劣位に置かれた性的マイノリティたちが諧謔的に自称する語であったが、20世紀末期から21世紀初頭にかけて人文社会系における重要なキーワードの一つとなり、いまやクィアスタディーズは文学や表象文化論に限らず、社会学、人類学、地理学、哲学、宗教学、そして神学等、多様な学問分野を横断する領域として、研究や社会実践が進められている。ひるがえって民俗学の状況をみると、日本の民俗学ではクィアに関する研究の蓄積は草創期を除いてほぼ皆無であり、民俗学がアカデミズム化し、制度化する過程において、クィアな存在や現象を捉える視座が後景化してしまったことがうかがえる。また、性的マイノリティについて社会運動や法制度の面で先行しているアメリカの民俗学においてすら、これまではクィアは数多くある研究トピックの一つであったと捉えるのが妥当であろう。 
しかしながら、2021年にアメリカ民俗学の若手研究者が複数参画して出版されたAdvancing Folkloristicsという書籍では、クィアを一つの研究トピックなどではなく、民俗学を刷新し、さらには民俗学全体を性格づけるキーワードとすることが試みられている(島村恭則2021「ジェシー・ファイブコート他編『民俗学の前進』」(『現代思想』2022年1月号、特集=現代思想の新潮流 未邦訳ブックガイド30))。こうしたアメリカ民俗学の学問的動向は、2010年代後半の共和党政権下のアメリカで発生したマイノリティをめぐる様々な事件とそれらをめぐる社会運動に呼応する部分が大きく、性的マイノリティに関する国民的議論が高まりを見せている日本においても、民俗学の立場から議論し、発言していくタイミングは今を逃して他はないと言えよう。
 そこで、本研究会では、クィアの視点から民俗学の新たな可能性を拓いていく―大胆に言えば「民俗学をクィア化する」―ための第一歩を踏み出すことを目的とする。まず、コーディネーターの辻本より研究会の趣旨と議論の枠組みを示す。次に、中世文学がご専門であり、南方熊楠と文通で交流しながら男色研究を進めた民俗学者・岩田準一の学史的研究を行われている辻晶子氏にご発表いただき、日本の民俗学の中でも周縁化されてきた草創期の研究実践から、今後の研究につながる可能性を再検討する。さらに、関西地方において性的マイノリティの人びとが集う宗教施設で調査を継続してきた三上真央氏にご発表いただき、民俗学的フィールドワークの強みを活かしながらクィアスタディーズに参画する方途を探る。
 アカデミズムであれ在野であれ、クィアが民俗学の正当な研究対象であるということに疑いの余地はない。こうした前提を踏まえた上で本研究会では、これまで多分野のクィアスタディーズが精緻に議論を積み重ねてきた性的マイノリティ研究から議論を始めつつも、クィアという語の原義にも立ち返り、民俗学が扱う多様な対象―ここにはいわゆる「民間伝承」や「口承文芸」と呼ばれてきたものも入るであろう―をクィアの視点からどのように捉えうるか、ご参加の皆様と議論を進めていきたいと考えている。(文責:辻本侑生)

【参加登録について】

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