2013年度年次大会
2013年度年次大会
日時:2013年5月11日(土)10:00~17:00
場所:お茶の水女子大学 大学本館306教室
・本会の総会会場は大学正門より入っていただき、右手に進んだ棟の3階奥手になります。当日は案内板等を用意する予定ですが、左手奥や2階の一部は日本哲学会の会場となりますのでご注意ください。
(1)個人研究発表 10:00~12:00
10:00~10:30 第一報告
王新艶(神奈川大学歴史民俗資料学研究科)
「現代化における華北農村の伝統的な家族観の変遷 ―山東省の旧暦10月1日の「鬼節」の祖先祭祀を事例に―」
10:30~11:00 第二報告
胡艶紅(筑波大学人文社会科学研究科)
「「七月半」祭礼における神・祖先・死者 ―中国太湖流域における大型漁船漁民の事例を中心に―」
11:00~11:30 第三報告
辻本侑生(筑波大学人文・文化学群人文学類)
「高度経済成長期の焼畑山村における消費生活 ―複合生業と失業保険―」
11:30~12:00 第四報告
石川俊介(名古屋大学大学文学研究科博士研究員)
「誰が「民俗行事」を継承するのか ―富山県南砺市城端の盤持(ばんぶち)大会を事例として―」
(2)会員総会 12:00~12:45
・事業報告
・会計報告ほか
(3)年次大会シンポジウム 13:30~17:00
「高度経済成長期における食生活の変貌」
場 所:お茶の水女子大学本館306教室
発表者:
表 真美(京都女子大学)「食生活と家族だんらん」
西野 肇(静岡大学)「家電製品の普及と生活変化」
村瀬 敬子(仏教大学)「料理とメディア」
趣旨:
これまで民俗学における食文化の研究は、農山漁村に伝えられてきた食の素材や調理の仕方、儀礼食などの研究が中心であった。市町村史に報告されている食習調査や農文協から出版された『日本の食生活全集』などはその代表例である。また、戦後の生活改善運動における食事指導や共同炊事などによる食生活の変化に注目する研究が進められてきた。近年では、郷土食あるいは家庭の味に関する批判的研究もみられる。とはいえ、儀礼食や農村の食生活の変化に関する研究が主流であり、高度経済成長期の日常食や都市部における食生活の実態についてはほとんど調査、研究がなされてなかった。現在の大多数の人々の「日常」に民俗学は無関心だったかのようである。
高度経済成長期は、経済成長もそうであるが家電製品の生活への浸透、生活様式の洋風化が進んだ時期である。かつて民俗調査の主たる研究対象であった民具ではなく家電製品が生活の中心となっていく時期である。生活の変化に関して、民俗学では生活改善普及事業に着目する研究があるが、家電製品の普及や生活様式の洋風化は、生活改善運動の結果というよりも、NHK「今日の料理」に代表される料理番組や各種婦人雑誌のレシピ・料理本というメディア、それらに加えテレビドラマなどを通じて洋風料理や家電製品に囲まれる生活への生活者の憧れ・欲望からの影響の方が大きかったのではないかと推測される。
本シンポジウムにおいては、高度経済成長期における食生活の変貌について、食物の冷蔵保存を可能にした電気冷蔵庫の普及の特徴と食生活の変化、および女性と食の関わり方の変化などについて考えていくことを目的とする。そして、食生活研究における民俗学的アプローチの有効性と課題についてあらためて考えてみることとしたい。
コーディネーター
宮内貴久(お茶の水女子大学)、関沢まゆみ(国立歴史民俗博物館)
■共催:お茶の水女子大学比較日本学教育研究センター