第69回研究会「モニュメントなき都市の歴史と記憶」
第69回研究会「モニュメントなき都市の歴史と記憶―ジョルダン・サンド著『東京ヴァナキュラー』を読む、語る―」
ご案内:
■会員資格を問わず、どなたでもご参加いただけます。要参加登録(登録方法は下記【参加登録について】を参照)。
■本研究会は、現代民俗学会会員の方も参加登録をしていただく必要があります。
日時:2023年6月17日(土)13:00~
会場:国士舘大学世田谷キャンパス10号館10212号室+オンライン(オンライン会議システムZoomを使用)のハイフレックス
発表者:
平井雄一郎(渋沢研究会)
「1980年代都市論の形而上学」
岸佑(国際基督教大学アジア文化研究所)
「過去の力、再生の論理:戦後空間の可能性」
ジョルダン・サンド(Jordan Sand, ジョージタウン大学)
「『東京ヴァナキュラー』―平井報告・岸報告へリプライする」
司会・コメンテーター:
菅豊(東京大学東洋文化研究所)
コーディネーター:
石野裕子(国士舘大学文学部)、菅豊、平井雄一郎
趣旨:
これまで歴史的事績や事件、それに関わった人びとを顕彰し記憶するために、歴史遺構や記念碑、記念塔、記念像といった数多くのモニュメントが、世界中で構築されてきた。一方、歴史的事績や事件、そしてそれに関わった人びとを否定し、その歴史を葬り去るために、いま多くのモニュメントが世界中で破壊されている。「モニュメントは破壊されるために作られる」といっても過言ではない。それは人びとのなかにパブリックヒストリーを生み出し、また消し去る重要な装置である。
数百年の歴史をもつ日本の中核都市・東京―そこは関東大震災や東京大空襲などの大きな災禍によって焦土と化した経験をもつ。そのため、数百年もの歴史を示すモニュメントは、そこにはほとんど存在しない。しかし東京では、ここ50年ほどのあいだに、モニュメンタルなモノではなく、それに代替されるヴァナキュラーなモノによるパブリックヒストリーの創造がとりおこなわれてきた。
ジョルダン・サンド著『東京ヴァナキュラー―モニュメントなき都市の歴史と記憶』(新曜社)では、新宿西口地下広場、『谷根千』、路上観察学、そして江戸東京博物館といった、一見、何のつながりもないようなヴァナキュラーな物事を軸に、1969年を転換期とする東京のパブリックヒストリーの〈ヴァナキュラーへの転回〉が活写されている。本研究会では、著者サンド氏を交えて同書を合評しながら、〈ローカル〉と〈日常〉の政治が織り成されるモニュメントなき都市の歴史像と記憶に関し、パブリックヒストリー、およびヴァナキュラー文化、都市コモンズといった観点から議論したい(文責・菅豊)。
■現代民俗学会、パブリックヒストリー研究会、東京大学東洋文化研究所班研究「東アジアにおける「民俗学」の方法的課題」研究会、野の文化論研究会(科研「ヴァナキュラー概念を用いた文化研究の視座の構築―民俗学的転回のために―」)
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