(12/7)第80回研究会 「民俗」宗教と「民衆」宗教―民俗学と宗教学―
第80回研究会 「民俗」宗教と「民衆」宗教―民俗学と宗教学―
概要
- 日時 :2025年12月7日(日)14:00~17:10
- 開催方法:ハイフレックス
- 対面会場:立教大学池袋キャンパス 9号館9B01教室
- オンライン会場:Zoom
- オンライン参加には会員・非会員共に事前登録が必要になります。
- こちらのリンクからお申し込みください。
趣旨
1970年代に櫻井徳太郎や宮田登、宮家準、島薗進は「民間信仰」という概念ではなく、「民俗宗教」という概念を提案した。この背景には「創唱宗教」と「民間信仰」という二項対立では新宗教や修験道を研究する際に機能しがたく、宗教学者の林淳が指摘するように両者の「中間領域」に広がる領野に注目が集まった[林2019:113]状況があったといえよう。
これに対し宗教社会学者の村上晶によると、2000年代に登場した「民俗宗教」という用語を提唱する立場には二つの立場がみられるという。ひとつは「民間信仰」の語を新たに提唱しようとする立場であり、もうひとつが信仰に関わる領域を他の領域から区別することに反対する立場である。また、村上によれば宗教学の立場からは用語の問題に対する新たな展開は見当たらず、個別事例に基づく研究がすすめられている状況にある[村上2022:247]という。
宗教学はその学問的特性からもともと学際性をもった学問領域であるが(もちろんそれゆえの難しさもあるわけだが)、民俗学に目を向けると、近年近代仏教をはじめ多様な研究が展開されている近代期の「宗教」が民俗学界内において議論に上がる機会はまだまだ少ない。
登壇者の石原和は、歴史学の立場から宗教を信仰する人々という史料に残りにくい対象をとらえるために、社会史的な関心から民俗学にも視野を広げて考察を行っている。またもうひとりの登壇者である藤井麻央は、金光教をはじめとする近代に起った新宗教教団やその指導者たちの教団内に留まらない活動について史料をもとに動的な考察を行っている。両者のアプローチは史料から「民衆宗教」に光をあてるものであり、また民俗学が対象とする「民間信仰」について大きな示唆を与え得るものと考える。
本企画は宗教学(とくに宗教史学)の成果を踏まえることで、民俗学と宗教学の「民俗」宗教と「民衆」宗教をめぐる「中間領域」を改めて照射することを目的としている。
- ■ コーディネーター 後藤晴子(大谷大学)・門田岳久(立教大学)
- 14:00~14:15 趣旨説明 後藤晴子(大谷大学)
- 14:15~15:00 報告1 石原和(同朋大学仏教文化研究所)
- 「近世民衆宗教と救済願望―「渇仰の貴賤」を視点として」
- 15:00~15:45 報告2 藤井麻央(大谷大学真宗総合研究所東京分室)
- 「大正・昭和期の民衆宗教と生活―ある信者の信心と経済の実践を手がかりに」
- (10分休憩)
- 15:55~16:25 コメント1 門田岳久(立教大学)
- コメント2 天田顕徳(北海道大学)
- 16:25~17:10 質疑応答
プログラム
共催:JSPS科研費基盤研究(C)批判的民俗学の基礎理論構築
