第45回研究会「まちをまなざす、まちをかたる」
第45回研究会「まちをまなざす、まちをかたる―都市をめぐる学際的な対話に向けて―」(終了)
第45回研究会につきまして、事情により、砂川さんのご発表について延期させていただきます。
それに伴い、以下のように変更いたします。
直前で申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
日 時:2019年10月27日(日)13:30~17:00
会 場:東京理科大学 神楽坂キャンパス1号館3階136教室
コーディネーター・趣旨説明:木村周平(筑波大学)
司会:門田岳久(立教大学)
発表者
早川 公(大阪国際大学)
「『まちづくりのエスノグラフィ』解題」
三隅貴史(関西学院大学)
「『まちづくりのエスノグラフィ』を民俗学から読む」
石榑督和(東京理科大学)
「『戦後東京の闇市』解題」」
木村周平
「『戦後東京の闇市』を文化人類学から読む」
参考文献
・早川 公2018『まちづくりのエスノグラフィ―《つくば》を織り合わせる人類学的実践』春風社
・石榑督和2016『戦後東京と闇市:新宿・池袋・渋谷の形成過程と都市組織』鹿島出版会
趣旨:
都市は様々な人やモノが行き交い、また集積する場である。農村を主たる対象としてきた民俗学においても、その発展の過程のなかで、都市は重要な研究の場、ないしテーマのひとつとなり、1970年代頃には「都市民俗」や「都市民俗学」という用語が使われるようになった。そこでは、従来の方法論や関心を応用したり、近隣の諸学問の理論を取り込んだりしながら、都市生活者や商工業に関わる人々の口承や都市祭礼、あるいは団地での生活等についての研究が進められた。さらに、1980年代頃からの自治体史編纂事業の増加も、民俗学と都市との関わりを深めるのに寄与した。
だがそうした動きも、「一過性のブームとして消費されてしまった」というのが民俗学内での一般的な見方である(本学会の第5回研究会「「都市」の収穫を問い直す」(2010年3月開催)趣旨文より)。小池淳一も都市民俗学の蓄積を振り返り、現代的とされる諸事象を民俗学の研究対象とするうえで、もはや「都市」というカテゴリーを用いることの意義が失われてしまった、と論じる(「都市民俗学はどこへいったのか」『国立歴史民俗博物館研究報告』第199 集、2015年)。だとすれば、人口がますます都市に集まりつつあり、都市に取り組む意味も大きいはずの現在、民俗学から「都市」を語ることは難しい、と言わざるをえないのだろうか。
思えば都市は、都市史・建築史、社会学、文化人類学、文学など様々な学問と関心が重なり合う場であり、これまでも相互に影響を与え合ってきた。こうしたことを考えるのであれば、現在進行形の都市研究を追求するには、民俗学内部の蓄積や可能性を見つめ直すことに加え、その周囲に目を向け、学際的な対話を通じて展望を開く、ということにも意義があるのではないだろうか。
本研究会は、これまでの蓄積を踏まえつつも、学際的な対話を行い、展望を開くことを試みたい。そのために「都市(まち)」をテーマした二つの著作を取り上げ、民俗学・文化人類学・都市史のまなざしや方法論の差異や共通性、取り組むべき論点や協働の可能性について議論したい。(文責:木村周平)